介護度の着眼点
生活に、ひとの手が必要かどうか。
いえ、だれでも多くのひとの手を借りて生きています。
小さいときから、大人になっても。
これが、悪いわけではありません。
ただし、体調がくずれて、こうなった場合。
これを、介護が必要な状態、ともいいます。
そのさい、どのくらいのことならできるのか。
いくつかの着眼点で判断されることがあります。
一例を紹介します。
(1)ゴハンを食べられるか?
(2)着がえができるか?
(3)おフロに入れるか?
(4)トイレを使えるか?
(5)歩けるか?
これらが、おのおの、どれほど不自由なくくらせるか。
この5項目で、ある程度の援助量(介護量)が推測されます。
ということで、この5つを総称して「日常生活動作」とよぶことがあります。
文字通り、日常生活の基本項目。
と、5つをあげましたが、すべての根っこが共通していることに気づかれましたか?
すべては「移動能力」が大元ということです。
食べるんだって、食堂までゆけねば始まらない。
トイレだって、トイレまでゆけねば始まらない。
以下、同文。
移動する力。
はやい話が、歩ける力。
この重要性は、すべてに共有される大事な柱です。
歩きの着眼点
歩くために、カラダで大事な部分は、どこでしょう?
すべて、です。
どこだって、不要という場所はありません。
ただし、そういってしまうと、つかみ所がなくなってしまいます。
とりわけ、大事な場所。
盲点になりがちな場所。
しばしば急所となっている場所。
そこを、あげてみます。
それは、「手足」の力です。
手足がなんとかしている。
であれば、なんとか動けるし、移動できるんです。
そりゃ、アタマがボケれば、うまくゆかなくなることもある。
オナカが出すぎたら、動きにくくなる。
そういう例もありますが、動けなくなる一番の理由は、「手足の不自由さ」が生じたらです。
「手足」が、「動作」のカナメ。
「手足」を粗末にしてはいけない。
こういう見方を、覚えておいてください。
手足の筋量に着目
ない袖は、振れない。
手足の力がなくなれば、生活はきびしくなる。
そこで、手足の筋量に着目したら、どうでしょうか。
「自分の身長に対して、手足の筋量はどのくらいあるか」
この数値が、手足の力の基礎データになります。
この数値が、移動能力の基礎データにもなります。
そういう研究がすすんできました。
さっそく、計測してみましょう。
まず、四肢の筋肉重量を、計算します。
「右腕+左腕+右脚+左脚」の筋肉総重量です。
それぞれの、筋肉重量を足せば求められます。
4つの足し算です。
それを「身長の2乗」でわります。
「四肢の筋肉総重量」÷「身長の2乗」です。
この値を、「SMI」といいます。
Skeletal Muscle Index(骨格・筋・指標)の略号です。
体重を身長の2乗でわるのを、BMIといいますね。
メタボ検診で必ずでてくる値。
これは、おもに体型をあらわします。
その、手足バージョン、といっていいでしょうか。
いや、そんな軽いものじゃありません。
活動指標、ともいえるんです。
まだ、いい日本語訳がありません。
でも、今後、大いに着目してゆきたい数値となります。
時代は、BMIから、SMIへ、です。
ちなみに、田村の計測値で演習してみましょう(へんな例ですいません)。
右腕:2.89kg
左腕:2.89kg
右脚:9.61kg
左脚:9.64kg
身長:1.75m(身長単位は、メートルにします)
四肢筋肉重量=2.89+2.89+9.61+9.64=25.0
身長の2乗=1.75×1.75=3.06
よって、SMI=25.0÷3.06=8.17 でした。
さっそくSMIを
ところで、SMIって、どうしたら計測できるんでしょうか。
手足の筋肉重量って、いったって。
大丈夫です。
メディカルフィットネスこまちには、「InBody」という計測器があります。
そこに乗りさえすれば、たちどころに算出可能です。
1回1,000円+税で、どなたも、何回でも、利用できます。
さっそく、測ってみませんか。
測った方は、結果用紙を、あらためて出してきてください。
この数値のひとつの活用法です。
男性:7.0以上
女性:5.7以上
この範囲にあれば、十分な筋肉量がありますよ、というデータが出されています。
この数値以上あるのに、力がない気がする。
そうでしたら、数値(筋肉重量)を増やすより、使い方に着目してゆきましょう。
宝を、うまく使いこなせていない、という可能性が考えられます。
これ以下なら、不合格ではありません。
新しい目標ができたのです。
育てれば、幾つになっても育ってくれるのが、筋肉の特徴です。
食べ方の検討(筋肉が育つ食べ方の工夫)
筋肉の使い方の工夫(使えば育つ)
この両者の工夫が、コツとなります。
InBodyは、メタボや、やせの評価として活用されてきました。
つまり、体型評価。
ところが、もっともっと実用的な活用法が、開発されているんです。
動的な評価です。
SMIをおってゆくのは、楽しいです。
ぜひ、活用していってください。
そして、変化を追っていってください。
(田村)