冷えと体温

冷えと体温

あるのに、ないもの

世の中には、「ある」のに「ない」ものが、たくさんあります。

表現法を変えると、「ある」のに「気がついていないもの」です。
気づいていないと、ないものになってゆく。

自分で、気づいていないものがあります。
世間も、気づいていないものがあります。

そんなもの、あるわけないだろう。
だって、世間は広いし。
だれかが、気づいているはず。

たしかに、気づいているかもしれません。
ただし気づいていても、「意識」しないと、そのままになってしまう。
ちゃんと、拾いあげておかないと。
けっきょく、「ない」ものになってしまいます。

たとえば、愛情とか。
世の中には、愛情があふれている(はず)。
なのに、ここに目がゆかないと、サツバツとしてしまいます。

見落としていないか、どうか。

「冷え」は病気か?

冷えという感覚も、「ある」はずなのに、しばしば気づかれていません。
気づいても、なかなか、まっとうにあつかいません。
あつかわれません。

病気をあつかう「医療」の土俵にも、なかなか登場しません。
大きな医療教科書にも「冷え」の記載は、ほとんどありません。
むつかしい病気は、何千種類ものっているのにです。

病気として、みられていない。
あえて、無視しているのでしょうか。
あるいは、本当に気がついていないのでしょうか。

だから、暑い夏のエアコンの下。
「強すぎて体が冷えちゃうんですけど」という訴えは却下されてしまいます。
そんなの、個人的な感覚だろう、と。
病気あつかいしてもらえません。

ところが、「冷え」は、体調不良の大きな原因になっています。

だるい。
寝られない。
疲れやすい。
食べられない。
痛い。
苦しい。
体力低下。

これらの原因に「冷え」がないか。

冷えの2大基地

体の中には、冷えの基地が「2ヶ所」できやすい場所があります。

ひとつは、「オナカ」の中。
冷たいものをとっていると、直接オナカを冷やします。
今のスイカは、4℃、冷蔵庫温度です。
むかしのよく冷えたスイカは、16℃くらい、井戸水温度でした。

足腰を冷やしても、冷たい血液が通るのが「オナカ」です。
オナカが、冷やされます。

もうひとつが、「体表」。
皮ふの冷えです。
皮ふは筋肉と直結していますから、筋肉もいっしょに冷えていますが。

むかしは、皮ふの冷えは、暖房のないに多くみられました。
いまは、エアコンのきいたに多く発生しています。

あるいは、動かなくて筋肉から熱を作らなくなった現代。
1年中、筋肉も、皮ふも、冷えてしまっていることも少なくありません。

皮ふの冷えは、わかりやすい。
直接、さわってみればわかります。
ヒヤッとしていたら、冷えです。

オナカ。
皮ふ。
これが冷えの宿る2大基地です。
こんな基地を体にもっていたら、どうなるでしょうか。
あらゆる体調不良の原因になりうる状態です。

なぜなら、生命活動は「あたたかい状態」で営まれるものだからです。
冷えたら、活動しにくくなります。
一定以上、冷えてしまうと、ナムナムです。

まずは、オナカをさわってみてください。
オナカが冷たいなら、けっこう深刻です。
そもそも、茶をわかせる場所なんですから。

体温とは、別もの

冷えをはかるために、体温計を活用しよう。
これは、ほとんど意味はありません。
冷えは、あくまで「感覚」です。
客観的な数値で示せるものではないからです。

体温と、冷え感覚は、別ものです。

ところが、客観的でないものに、現代医療は冷たい。
ま、そういうところが、医療は進歩したはずなのに「病気」や「病人」がふえている一因になっているのですが。

寒いと感じたなら、冷えが宿っているわけです。
たとえ体温計の数値が高くても。

カゼのひき初めは、ゾクゾクします。
このとき、体温をはかったら38℃になっている。
大変だ、熱があがっている。
はやく下げなくては。

いえ、ゾクゾクしているなら、まだ体は冷えている状態です。
体が必要な体温に達していない通知です。
より具体的にいえば、免疫機能が活躍するには足りない体温状態ということ。

ならば、ゾクゾクが消えるように、はやくあたたまろう。
それが、素早く達成できれば、カゼはその場で解決しています。

「冷え」を感じていませんか。
「冷え」をもっていませんか。
「冷え」をつくっていませんか。

冷えを解決してゆくだけで、体の不調が改善することは、よくみられます。
「冷え」は、1年中、わたしたちの中に侵入するチャンスをうかがっています。
「冷え」の感覚を、大切にしましょう。
「冷え」の解決法は、いろいろあります。
冷えからサヨナラして、快適に。
(田村)